第3回 自主勉強会(初オンライン開催)

初オンライン勉強会!

昨年度は、立ち上げから計2回の勉強会を実施し、延べ50人の先生方に参加していただきました。

今年度は、兵庫県の教職員自主的研究推進事業に認可され、より多くの先生方と、より多くの内容を、より多くの優れた実践を生み出す場にしていきたいと意気込んでいました。ところが、コロナ禍の影響で、拠点としていた公民館(家庭科室!)に集まっての勉強会の実施は難しい状況が続いています。「このピンチをどうチャンスに変えるか…」共同代表を務める曽川と西宮市の教職員に整備されているMicrosoft Teamsを使って今後の方向性をオンライン会議で検討していました。「そうだ!これ(オンライン会議)で勉強会をやってみるしかない!」現状を打開するために、4月から使い始めて5か月のMicrosoft Teamsでのオンライン勉強会を行うことがこうして決まりました。

日時:2020年9月12日(土)10時~11時半

場所:オンライン(Microsoft Teamsを使って)

主題:地域の災害特性の教材化そして実践へ

参加:74名

 西宮市や尼崎市だけでなく他府県(香川県や京都府、岩手県等)からも参加していただきました。高校生から大学教授まで多種多様な方に集まっていただきました。ありがとうございました。

3回目の内容は次の二つでした。

①地域の災害特性はこうやって調べる!

②4年生の防災単元はこうやって進める!

 はじめに、西宮市立夙川小学校の曽川剛志から地域の災害特性をどのように調べるのか発表してもらいました。具体的には次のとおりです。

①今後、地域で発生が想定される災害を調べる!

→ハザードマップや市役所防災危機管理局HPなどから

②地域の地理的条件を調べる!

 →地理院地図(標高や土地条件など)

 →今昔マップ(昔の航空写真)から

③地域の社会的条件(地域人口や避難所収容数)を調べる!

 →市役所HP住民基本台帳などから


武庫川近くの西宮市立小松小学校を事例に、曽川が実際に地域の災害特性を調べる様子をオンラインで共有し、理解を深めてもらいました。


 指導書がない防災教育だからこそ、どう調べて、何に注目したらよいのか地域の災害特性の教材化について実演を交えた話をしていただきました。

 そして、西宮市立高木北小学校の恒吉泰行から学年で同時開催した保護者参加型のクロスロードの実践について発表させていただきました。

 クロスロードとは、災害場面での難しい意思決定を疑似体験する防災ゲームのことです。武庫川氾濫による洪水で浸水する恐れがあるという校区の災害特性に合わせて問題を自作しました。


 勉強会では、参加者にスマホを使ってQRコードを読み取ってもらい、上記クロスロードにオンライン上で答えてもらいました。

 実際の授業では、地域の実態に合わせて洪水編の問題にすることで、防災意識が高まり、授業後に家族で話し合いをもつ機会が増えたと感じています。


 次に、引き続き恒吉から新学習指導要領で新設された4年生の防災単元を子どもたちが主体的に学習に取り組めるよう、クロスロードを活用する案について話をさせていただきました。

 まず、知識の習得が十分ではない授業の導入においてクロスロードを行います。


 よく分からない状態でYES・NOを決めれば、もっと詳しく調べてみたくなります。子どもたちからわいてきた考えを聞きながら、授業の問いを設定します。問いを追究した授業のまとめに再度、クロスロードを行います。



 同じ判断をしても根拠に深まりが見られたり、追究した結果、YES・NOの判断が変わったりする可能性があります。また、同じことを調べたとしても多様な意見があることに子どもたちが気づけると考えます。

災害時に主体的に考え、自分の命を守ることができるようにするには、授業においても主体的に学習に取り組む姿を育みたいものです。

提案した単元案は、まだ実践されたものではありません。今後、実際に授業で活用していき、精緻化を図り、パワポやワークシート等の資料を充実させ、皆様により使いやすいものにしていく予定です。

西宮・尼崎の防災教育を考える会

西宮・尼崎の防災教育を考える会は、令和元年8月に発足した自主勉強会です。兵庫県の西宮市も尼崎市も南海トラフ巨大地震による津波被害、台風等による河川氾濫による被害が想定されている地域です。「来るべき災害から、子どもたちの命を守りたい。」という現場の思いに呼応して会を立ち上げました。特に、教師がいない場面で、子どもたちが主体的に避難行動をとれるようにしていくための教材の共有を会の目的としています。